安全かプライバシーか


Warning

この記事は思ったことを吐き出した半ば妄想のようなものです。ご注意ください。

大型の SNS プラットフォーム「Discord」では、法律上の理由により英国やオーストラリアなどの一部地域で顔スキャンによる年齢確認を進めています。

Discord のようなクローズな SNS で実際に児童への犯罪行為やその他の犯罪行為が確認されている中、こうした取り組みは子どもの保護に有効的である一方で、ユーザーのプライバシーは損なわれます。
それどころか、子どもの安全を脅かす可能性すらあります。

それはなぜか、この件についての見解を書いていきます。

顔スキャンの問題点

まず、顔スキャンはサービスとして負担が大きいので外部のサービスへ委託するケースが多いです。Discord も認証は別の会社が行う、としています。
これはあらゆるユーザーの顔データはこれらの認証サービスへ集められるということで、悪用されれば安全のためのサービスが個人情報収集のためのサービスになりかねません。
もちろん、データの暗号化やデータの適切な削除などを行っていれば悪意のある社員または第三者が悪用するのは難しいですが、管理が杜撰だったり脆弱性が見つかればこの限りではありません。

大手が採用する認証サービスはしっかりしていることも多そうですが、どこかで採用されている認証サービスが実は悪意のある会社で、子どもの顔を集めていたらどうでしょうか?
恐ろしいですよね。
子どもの顔を集めるのが一部の物好きだとしても、老若男女問わず色んな人の個人情報を集めたいという人は少なくないでしょう。

余談

安全やプライバシーとは直接関係のない話ですが、顔で年齢を判断するというのも精度が疑わしいです。顔と年齢の関係性は個人差があり、特に人種によって大きく異なることもあります。中でもアジア人は童顔に見られやすい傾向があり、人が見て判断する場合や AI が判断する場合でも個人や人種の間での顔の見え方の違いをどう吸収するのか疑問です。
この手の技術については門外漢なので、私の認識が誤っている可能性もありそうですが。

安全を強要する法律の危うさ

そもそも、身元の強力な確認をサービスの義務とするのはかなり横暴です。
子どもの保護といえば聞こえはいいですし実際に効果もあるでしょうが、地域でサービスを続けるために匿名性を損なうことを強制させるということでもあり、政府の言論統制に繋がりかねません。SNS というコミュニケーションツールに関して匿名性が損なわれることはジャーナリズムにとって致命的です。
これらの法律を通してしまうことは最終的にインターネットのプライバシーを損なうことに繋がります。

しかし、インターネットの決済における身元の確認については珍しくありませんから、こうした法律もいずれ各国へ浸透していくのでしょうか。

保護は誰の責任?

子どもを有害なコンテンツから遠ざけるのをサービスがしないのなら、それをする、するべきなのは誰でしょうか。
ずばり親です。

ただ、これは親のインターネットへの理解、完ぺきな監督が可能というのを前提にしてしまっているため、子どもを実際に保護するにはやはりシステムで縛る必要があるとも考えられます。私自身もプログラマーのしくれとして、ヒューマンエラーとフールプルーフ[1]重要性については痛いほど感じており、匿名性を損なってでもシステムで縛るべきかは考える余地があります。

安全 vs プライバシー

さて、ここまで子どもの保護に必要なこと、それによって揺れ動くプライバシーなどについて書いてきました。

でも、プライバシーを犠牲にすれば安全性を高めることができそうなのに本当にプライバシーは必要でしょうか?

うまでもなく絶対に必要です。陰謀論ではなく自由な発信を制限している国はあります。そのような国では国民に対して何が起こっても諸外国、または国内ですら情報が伝わりづらいです。実際にあるそれらの制限された国で国民に対してそのような行為が行われてるという話ではありませんが、事実としてそういう危険性を抱えています。

上で言及したような法律はこうした国に変えてしまう可能性があります。

Footnotes

  1. ヒューマンエラー=人的ミス、フールプルーフ=人的ミスを防ぐシステムのこと。ポカヨケとも

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